ココルーム年賀状2016

スタッフみんなで連詩をしました
全六作品をご紹介します

新しさ2016 連詩

「空のこと」

白い紙の上にペンをすべらせた
何を描こうか考えているのに
また別のことが気にかかる

雲のようだ
みつめているあいだに かたちがかわる
あ、水兵さん、犬になり、ちゃびんになり、さるになる

あまい甘い ふわふわで
ギラギラした視線
人間、動物、物、形

そこをまっすぐ横切ってく
飛行機雲

ふと気づくと 今日も一日が終わろうとしている
ああ

そしてまた別のことが気にかかる
たとえば明日、どこから朝日がのぼってくるか

「ぐるんぐるん まわるとどこかへ」

なにもないから
はじまるのか
満ちているからはじまるのか

奇跡なのか惰性なのか
動きはじめたら かかわりまきこんでいく

早くもあり、ゆっくりでもあり
点でも 線でも
つないでいく なんでも つなげる

結んで開いて手をとって
いつの日か これまでの点や線が

はるかはるか地平線の先まで
のびてく

そしたら もう ぐるぐる

「私の日課」

今日もシャッターあけて
道を掃いて、看板を出す

おはようさん こんにちは 
いつもの通り
いつもが始まる

たくさんの声、ぽつぽつの足
ひっくりかえる日もあれば
ただ何かを待っているだけだったり

やかんに水をいれて 水の音を聴く
ゆれる水 はじける水
やがて沸騰する水

閉じる 目を閉じる
もう一度 開けてみる
温かい お茶を 飲みますよ

「あさ」

夜が明ける 太陽が昇る 雨がやむ
そして 何かがはじまる

そうそう その感じ
おはよう おはよう おはようございます

さあ、窓をあけて、そうじと洗濯
今日はふとんも干そう、その前に朝ごはん

着がえたよ、着がえてよ
これもって あれやって
ひー もうこんな時間

ほらほら 沢山の呼びかけ 外から、私から
そわそわする足にちゃんと地面を感じて
今日も行ってきます

「やかん」

朝やけで目が覚める
お湯をわかし 
目がうつろ

やかんの沸騰に気づき
立ちあがる
外は白い

空を見上げる 飛行機雲がすっとのびてる

線の先に何かが見える
飛んでゆくのは一羽の鳥
湯気のなかになにかがみえる

蒸気のあたたかな白と
空にのびてるキリリとした白

またいちにちがはじまる
やかんがかたかたなっている


今年の年賀状にはみんなで作ろうと
集まって 連詩に挑戦しました
すると ふしぎなことに なかなかいい詩ができたじゃ
ありませんか
やはり 同じ場所で 身体をそこに置いて
集中すると ぎゅっとつまった詩がしあがるのですね
「集まる」「身体で話す」というのは とっても大事なんですね

連詩というのは 最初テーマを決めて
ひとり三行以内を書いて 全員の分をあつめてシャッフルして
そのなかから一枚ひいて テーマとは関係なく
三行の続きを つかず離れず三行書いて またシャッフルして
というのを六回くりかえし 
最後の連を書いた人がタイトルをつける というものです
(正式な連詩かどうかは わかりません)

みなさまにお届けした年賀状は 
この六つの作品のうちにどれかです

じぶんひとりでは考えもつかない展開をする連詩

それはまるで 人が何人か集まったら 
いろんなことがなんとかなってしまうまるでグループダイナムズのようですね

わたしたちも たくさんの人たちの人生が そですりあって
ユニークな展開をしていきたいと思います

どうぞ よいお年をおむかえください

ココルーム 上田假奈代