●2020年7月3日から7月7日の間にココルームを訪れた方でこれを読まれる方へ
ご自身が2020年7月3日から7月7日の間にココルームを訪れた方は、気がかりや不安をお持ちになると思います。ご自身の接触の詳細について、ココルームにお問い合わせください。わかる範囲になりますが、リストに記載するかどうかなども含めてお話ししましょう。なお、これまで少なくともスタッフや長期滞在者から感染の様子はなく、現時点ではココルームは感染源ではない可能性が高いことを付記します。
NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)
電話番号 06-6636-1612
メールアドレス info@cocoroom.org
ココルームの宿泊者に新型コロナウイルス感染症の陽性がみつかった件について
ここまでの経過と、それに対してのココルームの対応を以下に記します。
経過
2020年7月2日(木)
Aさん 17時ごろ約3週間申し込みでのチェックイン手続き。その夜は宿泊せず、7月3日以降滞在。
7月7日(火)
7/7 午後
救急隊が来て、宿泊者のAさんが救急車を呼んだことがわかる。
7/7 夜7時頃
大阪市保健所よりココルームへ電話が入る。
「Aさんより、お聞きですか?本人から聞いてください」とのこと。ココルームには、(接触の可能性の高い)共有スペースについて詳しく尋ねられ、Aさんとの接触のリスト作成への協力を要請される。
Aさんに電話連絡し、PCR検査の結果が陽性だったことが伝えられる。
スタッフ及び長期滞在者で集まり、対応について検討を始める。
7/7 夜8時頃
大阪市保健所に問い合わせる。
保健所から、接触者のリストがメールで送られる。
リスト作成後、濃厚接触者の基準を保健所に確認。
基準は「感染防止をせず、1メートル以内で15分以上、対面で会話をしているか」。
該当者がいるか、その場でも、そして記憶にある方々に連絡をとる。
すでにチェックアウトを済ませている宿泊者には電話で連絡する。
リストを作成し保健所に送り、電話でリストを読み上げ1人づつ接触状況を確認し、スタッフ1名と他の宿泊者2名(うち1名は既に大阪府外へチェックアウト)、こどもの計4名が濃厚接触者と判断される。
フロント係スタッフはチェックインでの会話があったが、他のスタッフとは15分以上話すことがなかったため、他のスタッフたちは濃厚接触者とならなかった。
濃厚接触者は2週間を自宅待機とする。
*リストに記載するもの
名前(よみがな)・年齢・性別・患者との続柄/関係・患者との最終接触日・基礎疾患・観察期間内の発症の有無・連絡先(電話やメールアドレス)・住所・接触状況等)
館内の清掃と陽性者の使用したリネン類の扱い、清掃に使用した用具の廃棄について、ネットから調べる。
厚生労働省、大阪市、環境省のサイト、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)からの情報に基づいたガイドラインから方針を得る。
厚生労働省 新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)
大阪市 新型コロナウイルス感染症について 消毒について https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000490878.html#z
環境省 医療関係機関や、その廃棄物を取り扱うみなさまへ 新型コロナウイルスの廃棄物について
https://www.env.go.jp/saigai/novel_coronavirus_2020/flyer_on_disposal_of_contaminated_waste.pdf
airbnb 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ清掃ガイドライン
7/7 夜
ドアノブなどの表面を消毒する。
関係各所に連絡。
明日は休業することを決定。
Aさんについては夜に電話がつながり、「少しの咳とにおいがしない程度」ということで軽症の様子。
【濃厚接触者と判断される基準】
・陽性者と1週間以内に、感染防止をせず(マスク非着用など)、1m以内で、対面での会話を15分以上
7月8日(水)
7/8 午前中
ドアノブなどの表面、共有の洗面台や手洗いや備品を消毒する。
行政の方針では必ずしも必要とされてはいなかったものの、館内の床面の消毒と清掃をする。
現状と今後の対策についてスタッフで話し合う
PCR検査について、抗体検査について、関係者について、利用予約や関係各所との予定について、営業についてなど。
昼食をはさみ、調べたことを共有する。・清掃や廃棄物の扱い、感染を広げない対応。・Aさんの宿泊した部屋は、救急隊が来た後24時間以上を立ち入りしないこととする。
7/3〜7/7にココルームに足を踏み入れ、陽性者と濃厚接触や接触の可能性のある人に思いつくかぎり連絡し、基準に照らし確認をし、クラスターとなった時には経路を確認できるように、リストに名前と連絡先を記載するかどうかを確認する。(リスト制作はココルームでとりまとめるようにという保健所からの依頼)
濃厚接触者のココルーム宿泊者1名については、トイレとシャワーを専用とし、張り紙をする。その人とスタッフの接触を避けるよう動線を確認する。
7/8 夜
現状と今後の対応について話し合う。
今後の目処について、営業について、関係者について、公表について、今後の対策についてなど。
感染の可能性を広げないため、PCR検査の結果の出る見込みの少なくとも週末までの営業の自粛、週末までの予約の宿泊などキャンセルを決定、関係者に連絡。
この週の釜ヶ崎芸術大学の講座は、オンラインにきりかえる。
7月9日(木)
7/9 午前中
今日の動きを確認。ひきつづき清掃、近所のお店や関係者に連絡。
大阪市保健所から濃厚接触者にPCR検査(検査費用は無料、こどもは有料)の日程の連絡がある。結果は週明けとなるそうで、営業の自粛も検査結果が届くであろう7/15あたりまでに延長。
7月10日(金)
3人の濃厚接触者の体調は良好。(毎日保健所から体調確認の連絡がある)
地域内の関係団体に経過(このテキストの200710版)をメールで送付する。
7月11日(土)
濃厚接触者、体調良好。1人がPCR検査へ。
夕方、Aさんと電話連絡。味覚も回復してきたとのこと。ココルームとして、今回の一連のことを、個人が特定されることのない内容で公表したいと伝えるが、承諾してもらえない。Aさんの気持ちとココルームの責任について考え、Aさんに最大限の配慮をしたうえでの公表を選ぶこととする。
7月11日(土)
濃厚接触者、体調良好。1人(Bさん)がPCR検査へ。
7月12日(日)
Bさん 検査の結果 陰性
参考資料:厚生労働省「一類感染症が国内で発生した場合における情報の公表に係る基本方針」https://www.mhlw.go.jp/content/000601059.pdf
7月14日(火)
Cさん Dさん こども 検査結果報告 陰性
(濃厚接触者すべて陰性に、Aさんも回復されているとのこと)
*今後も状況の変化をうけて更新します。(2020/7/14更新)
ココルーム宿泊者に新型コロナウイルス感染症の陽性の連絡が入ったその日から
七夕の日「マスクをはずせますように」と、こどもが書いた短冊をみつけたのは、その出来事のあとでした。
ココルームはゲストハウスとカフェです。ココルームに関心を持ってくださる方もいれば、宿泊や喫茶のために訪れる人もいます。この間、カフェは時短営業とし、風通しをよくし、椅子の間にはぬいぐるみを置き、釜ヶ崎芸術大学はオンラインを取り入れるなど、感染防止につとめてきました。「であいと表現の場」をこの状況下でどのように開くのかを模索しながら、扉を開けています。あらためて、体調のおもわしくない人々を日常的に受けいれる医療機関で働く方々、そして、エッセンシャルワークの方々のご苦労に頭がさがり、感謝もうしあげます。
2020年7月7日、夜7時頃、ココルームに保健所から電話がありました。その後、本人に連絡して、新型コロナウイルス感染症の検査の結果が陽性だと告げられました。
この後、その場にいたスタッフたち、ココルームに長期滞在している人たちは調べものや消毒に動き出し、毎日、話し合いを重ねました。
微調整や軌道修正をくわえながら、ひとつひとつの案件について取り組んでいます。
保健所のやりとり、接触があるかもと思われる人との連絡。リスト作成。調べることも多数。消毒、清掃。店舗営業をどうするか。近所や関係各所への連絡。ココルームを会場とするトークイベントなどの主催者との連絡。釜ヶ崎芸術大学の講座はオンラインのみに。その場にいる人たち、働くスタッフの気持ちを聞き合う。もっとも頭をかかえたのは、このことを公表するのかどうか、するとすればどうするのか、ということです。ネットで調べても記事は少なく「ケースバイケース」とありました。詳しくは、「経過」の方をご覧ください。
その夜、保健所とやりとりをして、数時間のうちに、濃厚接触者は4名となりました。宿泊者2名(うち1名は大阪府外へチェックアウト済み)、フロント係のスタッフ1名、こども1名です。彼らにすぐさま2週間の自宅待機をお願いしました。
1人の宿泊者の家は現在ココルームですから、トイレとシャワーをその人専用にして、この方の名前を書いた紙を貼りました。
当たり前ですが、細かいことが次からつぎへと出てきます。
さて、陽性者の方に負い目を感じてもらいたくありません。けれど、わたしもこの話を誰かにお話するさいに、つい「ごめんなさい」と前置きしてしまいます。感染防止につとめていなかったんではないか、と落ち度を思ってしまうからです。でも、この世を一瞬たりとも落ち度なく生きることなどできるのでしょうか。そして、そういう場面に多くさらされるのは、どちらかというと弱い立場の人々ではないでしょうか。
新型コロナウイルスは、目に見えません。未知の存在で、わからないものです。何がどうなのか、よいのか、よくないのか、わからないのだけど、世の中の「空気」は作られています。
自分の身体性や精神性、他者との関わりを、よくわからないままに、「空気」のようなものに覆われて、あるいは分断され、勝手に定義されていくようです。
わたしたちは、こうした「空気」の感覚に自分をあずけぱなしにしたくないと思います。この社会では誰かが働き、誰かが存在していることによって、生きることができます。その関わりの中に生きていることを自覚したうえで、その中のひとりとして生きていきたいと思います。
声にしにくい気がかり、不安、心配、違和感、弱さも表しあいながら、そして、表しあうことから生まれる可能性や創造性、関係性を開いていきたいと思います。もっとも可能性とは不可能性をふくむと考えます。調整や更新を重ねるために失敗もするものだと思います。ココルームの挑戦と創造性は、日々のちいさな積み重ねのなかにあります。だからこそ開示して、経験を更新していきたいと思います。
感染防止のマスクはおもいやり。でも、熱中症なども気をつけて。マスクをはずせない日常に馴染むための工夫を考えたいです。
新型コロナウイルス感染症も、この世界の連なりのなかにあり、ひとりひとりの存在があり人生があり、自然や造形物があり、時間があります。それぞれの立場で、今日もていねいにいたいと思います。よく寝て、食べて、適度にからだを動かし、いっぱい悩んで、話して、失敗して、それらを表現して、応答しあっていきましょう。
2020年7月9日 上田假奈代